記録的な大雪の影響で、約2日間にわたって全面運休した札幌圏のJR線。JR北海道は懸命な除雪作業で一部区間で運転を再開したが、全面再開にはなお時間を要する見通しだ。JR北の除雪作業は遅かったのか、それとも自然の猛威の前でやむを得なかったのか。専門家からは「効率化の結果、災害への体力が落ちている」との指摘も上がっている。
JR北によると、線路の除雪は「排雪モータカーロータリー」を使って実施。だが、大雪で動けなくなった車両が停車している駅もあり、車両付近の除雪は手作業でしなければならなかった。今回は6日午前の運行時間帯に短時間で大雪が降り、停車車両が増加。さらに列車の進路を切り替える「ポイント」の不転換も多発し、除雪が遅れたという。
7、8両日に記者会見した宮越宏幸常務は「列車が動いている限り、その列車が除雪の役割を果たしてくれるのだが、止まれば止まっているほど雪がたまり動けない状況に陥る。それが今回の発端になった」と説明した。
駅構内に止まっていた車両は、いったん車両基地に戻して点検する必要もあった。停車車両は札幌駅や白石駅など15駅に29本あったという。8日午後2時時点で10本を車両基地に戻し、優先的に除雪作業を行った小樽―札幌間で同日夜に運転再開した。
JR北海道の「安全アドバイザー会議」メンバーの北海道大工学研究院の高野伸栄教授(交通計画学)によると、1996年1月の道央地域の大雪では、札幌-小樽間の高速道路などが通行止めになる一方、鉄道は間引き運転で済んだという。
高野教授は「道路系は96年の時よりも除雪が進み、対応が改善された。一方、鉄道は大規模運休になり、かなり後退してしまった印象だ。(経営難による)合理化で余裕がなくなり、災害に対する体力が落ちている」と指摘。そのうえで「今のシステムや人員でどうすれば安定的な運行ができるか考えていかなければならない」とJR北に改善を求める一方、「JR北は安全運行を優先することに方針転換しており、その状況を理解しておくべきだ」と利用客の市民にも理解を求めた。【高山純二、土谷純一】
合理化で災害への対応力低下? 除雪に苦労、JR北海道の現在地 - 毎日新聞 - 毎日新聞
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