ソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長は、2月8日に開いた2022年3月期第3四半期の決算説明会で、米NVIDIAへの英Armの売却が、IT業界や欧米政府らからの反発を受け売却が中止になった件について「なぜそれほどまでに止められなければならなかったのか」と心中を語った。
SBGは2020年9月に、負債削減などの目的のためArmの売却を決定。米NVIDIAと売買契約を結んだ。本契約を巡り、米連邦取引委員会(FTC)は21年12月に半導体市場の競争を阻害するとして買収差し止めを求めてNVIDIAを提訴。英国やEU各国の政府なども反対姿勢を見せた。
孫会長がArm売却を決定した際、「単純に手放すのは嫌なので、ArmをNVIDIAに合併させて、NVIDIAの筆頭株主になりたい」と考えていたという。ArmのNVIDIA子会社化で半導体業界最強の会社を作り、そこの筆頭株主になるのが狙いだった。
孫会長は各国の反発について「通常、同じ業界の2社が合併する場合は独占禁止法の問題で止められるが、NVIDIAとArmはエンジンとタイヤぐらい違う物を作っている。そんな2社の合併を独占禁止法で阻止するのは、同法が始まって以来初めてのケース」と批判。「なぜそれほどまでに止めなければならなかったのか。非常に驚いた」と漏らした。
一方で、「IT企業や各国政府が、そこまで止めなければならなないというくらいに、Armは欠かすことのできない最重要企業の一つであるということ」(孫会長)と、Armを評価した。
“プランA”に立ち戻り、Arm黄金時代へ
Arm売却が中止されたため、SBGはプランBとして考えていたArmの再上場を目指す方針を固めた。この方針は18年のArm買収当時からあった計画で「むしろプランA」(孫会長)という。孫会長は、2022年度に米NASDAQへの上場を予定していると明かす。
株を保有し続けるのではなく再上場する理由について孫会長は、Arm株の25%を持つ投資家への配慮、社員への利益還元、経営の透明性の確保を挙げた。
Armの技術はこれまでIoT機器やスマートフォンのSoCなど、省電力性が求められる機器に採用されてきたが、処理能力の向上でクラウドサーバやEV、メタバースなどさまざまな分野での活用が見込めるようになっている。
Armはすでに先行投資でエンジニアを倍増させ、新製品の開発を進めており、今後はその製品群が登場していく“第2の成長期”に入るとしている。経営層も刷新し、「より攻撃的でエネルギッシュな人」として、CEOにはレネ・ハース氏、CFOにはインダー・シン氏を選んだ。
「わくわくしている。大変うれしい。Armを半導体業界史上最大の上場を目指す」(孫会長)
Armの売上高は16年度以降ほぼ横ばいの状況だったが21年度から成長を再開し始めている。人員の投入で営業利益は19年度まで下がり続けたが20年度には復調しており「Armの黄金期に入る」(孫会長)としている。
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