他人のパソコンを暗号資産(仮想通貨)の「マイニング(採掘)」に無断利用するプログラムを自身が運営するウェブサイトに設置したとして、不正指令電磁的記録保管の罪に問われた男性の上告審判決で、最高裁第1小法廷(山口厚裁判長)は20日、罰金10万円とした2審東京高裁判決を破棄した。裁判官5人全員一致の結論。1審横浜地裁の無罪判決が確定する。
問題となったのはパソコンの処理能力を勝手に利用し仮想通貨を獲得する採掘を行わせるプログラム「コインハイブ」。採掘で得た仮想通貨は、提供元と設置したサイト運営者で分配する仕組みだった。
男性は東京都のウェブデザイナー、諸井聖也さん(34)。平成29年10~11月、運営する音楽サイトにコインハイブを設置したとして略式起訴されたが、これを不服として正式裁判を申し立てていた。
同罪はコンピューターウイルスのような端末利用者の「意図に反した不正な動作」をさせるデータの作成・保管を禁じており、コインハイブに反意図性と不正性があるかが争われた。
第1小法廷は、反意図性については認めた上で、不正性については「プログラムの動作内容や利用方法、パソコンに与える影響の有無・程度などを考慮する必要がある」との判断を示した。その上で「サイトの運営者が閲覧を通じて利益を得る仕組みは重要で、社会的に許容されている広告表示プログラムと比較してもパソコンに与える影響に差はなく、許容し得る範囲内」として、不正なプログラムではないと結論付けた。
1審は、反意図性はあるとしたが不正性については「合理的な疑いが残る」として無罪を言い渡した。これに対し2審は反意図性と不正性の両方を認定、逆転有罪としていた。
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「有罪なら、日本のインターネットにおける汚点になるところだった。本当に安堵している」。最高裁が逆転無罪としたのを受けて20日、記者会見した諸井さんは、こう話した。
公判で諸井さんは、コインハイブをウェブサイト上に設置した理由について「広告に代わる新たな収益を模索するためだった」と主張。「捜査当局が言うなら『罪なのかな』と思ったこともあったが、線引きをはっきりさせたかった」と、法廷闘争を続けた理由を明かし「最高裁から認めてもらえてうれしい」と語った。
主任弁護人の平野敬弁護士も「法律の具体的な解釈が示され、濫用的な取り締まりはなくなっていくのでは」と述べた。一方、最高検は「検察官の主張が認められなかったことは誠に遺憾だが、最高裁の判断なので真摯(しんし)に受け止めたい」とのコメントを発表した。
仮想通貨無断「採掘」事件 最高裁で逆転無罪 - 産経ニュース
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