米経済復活が長期債利回りを押し上げると見込むポジションは先週、急激に解消されたが、米国債市場のリフレ取引巻き戻しはまだ終わっていないかもしれない。
連邦準備制度のタカ派シフトに驚かされた時、市場ではショート(売り持ち)ポジションが過去16年で最大になっていた。その結果、トレーダーらはイールドカーブのスティープ化を見込む取引(スティープナー)の解消を急ぐことを強いられた。これは、景気回復の中でインフレ加速を容認するという米金融当局の姿勢表明を手掛かりとしたここ数カ月の人気ポジションだった。
しかし今、当局は利上げによってインフレと闘う意思を示唆し、大規模な債券購入プログラムの縮小についての議論も始めている。まだスティープナーのポジションを解消していないトレーダーにはさらなる痛みが控えているということだ。市場が織り込む利上げ開始時期は2022年後半に前倒しされた。
インキャピタルのチーフ市場ストラテジスト兼シニアトレーダー、パトリック・リアリー氏は、「構造的には、今年のスティープナーは終わった可能性がある。スティープナーとフラットナーの間で動く機会はまだあるかもしれないが、5年債と30年債のカーブはこれまで見られたテクニカルなレンジから完全に抜けた」と述べ、フラット化は続くとの見通しを示した。
セントルイス連銀のブラード総裁は18日のCNBCとのインタビューで利上げについて、「私は2022年終盤の開始を予測している」と発言。債券購入のテーパリング(段階的縮小)に関しては、「今回の直近の会合で議長が公式に議論を開始した」と述べた。総裁の発言はイールドカーブのフラット化をさらに促した。
大半のトレーダーは、当局が8月のジャクソンホール会合(カンザスシティー連銀主催の年次シンポジウム)でテーパリングについて強いシグナルを出し、その後21年中に実際に発表すると予想している。
テクニカルアナリストは5年債と30年債のスプレッド縮小を指摘する。16日には200日移動平均を下回り、先週は約0.25ポイント縮小して11年以来の縮小幅だった。
ブリーン・キャピタルの金利担当マネジングディレクター、ラス・サート氏はスプレッドが105ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)まで縮小する可能性があるとみている。シティグループのストラテジスト、ウィリアム・オドネル氏は「新たな長期フラット化局面が始まった」ことを強く示唆する兆候があり、18年7月以降のスティープ化傾向は反転したと指摘した。18日の114bpの次の節目は94bpだという。
今週は、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長が22日に議会証言する予定のほか、複数の連銀総裁が講演する。
一部のトレーダーは既に波乱に備えている。先週はボラティリティー上昇を見込むオプションに大口の買いがあった。
原題:
Battered Reflation Trade in Bonds Faces More Pain in Fed’s Wake(抜粋)
米国債市場のフラット化はさらに進行か-FOMCタカ派の余波続く - ブルームバーグ
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