塩野義製薬は7日、開発中の新型コロナウイルス感染症治療薬の飲み薬「S―217622」について、約70人規模の臨床試験で一定の有効性、安全性を確認したと発表した。ウイルスが陰性化するまでの日数を2日短縮するなどの結果を得た。さらに規模を拡大した次の臨床試験で同等の効果を再確認できた場合、来週末にも承認申請する。手代木功社長は同日の記者会見で、「来週末、再来週にかけて承認申請し、2月末から3月初めにかけて供給を開始したい」と期待を示した。
昨秋から実施している第2/3相臨床試験(P2/3)のうち、P2の前半パート(P2a)の試験結果が出た。日本人12~69歳を対象に、感染確認から5日以内で軽症~中等症の患者69人を登録し、1日1回、5日間投与した。その後4週間観察した結果、投与3回後の4日目にはウイルス力価が陽性の患者比率がプラセボ群より6~8割減少し、ウイルスが陰性化するまでの時間が中央値で同2日短かった。臨床症状の改善傾向も認められ、入院などが必要な重症化例はゼロ。ほぼすべての有害事象と副作用が軽度なものだった。
これに続くP2bパートは、計画していた症例数400人超の登録が8日に完了予定。P2aと同等以上の安全性や有効性を確認できた場合は、P2b結果を根拠にして承認申請に持ち込む。手代木社長は記者会見で、「来週、再来週にはP2b結果をとりまとめ、P2aを再現する結果であれば、速やかに国に承認申請したい」と述べた。
米メルク製の「ラゲブリオ」、今週末にも承認される見込みのファイザー製「パキロビッドパック」(海外製品名・パクスロビド)に続く3つ目のコロナ治療用飲み薬になる。先行する2剤は重症化リスクがある軽症~中等症患者を対象に開発されたが、塩野義は低リスク者も含めて臨床試験を行っている。
無症状者など超初期の患者を対象にしたP2/3も実施中だが、有効性の評価に必要な発症例がまだ少ないため試験を当面続ける。海外でも大規模P3を行う予定で、試験デザインについて欧米当局などと最終調整中。海外向けの供給は海外で提携先を探して量産できるようにする。
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