強まる株式市場への逆風を受けて、日経平均株価の昨年来安値更新が現実味を帯びてきた。後半にかけて下値を模索した今週は21日に2万7129円まで急落し、終値2万7522円と2021年8月20日のボトム(2万7013円)に近づいた。米国の主要株価指数のテクニカルが相次いで下げ転換する中で、防戦一方の状況が続いている。
<企業業績に暗雲、FOMC警戒>
インフレ加速に端を発する折からの米国の金融引き締め観測に、マーケット冷遇の色合いを強める岸田政権、さらには新型コロナウイルスの感染拡大に伴い広がる「まん延防止等重点措置」。ロシアとウクライナの緊迫状態も高まるなど、株価への悪材料は枚挙にいとまがない。
こうした中で、コロナ後の世界の株高を先導した米市場の変調が鮮明だ。ハイテク株で構成するナスダック総合指数は、重要なサポートラインとされる200日移動平均線を割り込み、20日までに高値から約13%下落した。S&P500指数も昨秋以来の100日線割れとなり、調整ムードが強まっている。
対照的に足元で買い材料はほとんど見当たらず、日本株もひたすら落ち着きどころ探る展開を余儀なくされている。頼みの綱の企業業績をめぐっても、今週出た米国のゴールドマン・サックスやネットフリックスの決算発表後のシビアな株価反応で暗雲が漂った。半導体関連メーカーの受注はなお強いものの、それらは株価のリスクオフの渦中にある。
既に現金比率を高めている投資家も多いと思われるが、再参戦へは様子見機運が優勢だ。来週は日本企業の21年10-12月決算開示が本格化し始める上、FOMC(米連邦公開市場委員会、25-26日)も控えている。積極的にイベントに買い向かっていける雰囲気ではとてもない。
<2万7000円前後の反発再現は?>
もっとも、日経平均の昨夏以降の下落局面は、2万7000円前後で転換するパターンを繰り返している。この地盤が崩れるといよいよ厳しくなるものの、年金資金の出動も観測されやすい水準だ。
FOMCでは3月が有力視される利上げ開始時期と、その幅に対するFRB(米連邦準備制度理事会)の考え方が焦点となる。ただ、歯止めの利かない物価上昇を受けて、政策金利(FFレート誘導目標)を一気に0.50%引き上げるという見方も浮上するなど、相場はタカ派的な結果を先行して織り込みつつある。
また、もう1つのポイントが米議会の再開(24日)だ。宙に浮いている、バイデン大統領の経済政策を実行するための法案の行方が注目され、反対派議員との間の歳出規模の調整が進展すれば、ひとまず安心できるだろう。
日本では通常国会が17日からスタートしている。21日は岸田首相が金融所得課税の見直しへの意向を改めて表明、軟調な株式市場に追い打ちを掛けた。バブル崩壊懸念の震源地である米国に対して割り負け感のある日本株だが、マーケット軽視にも映るこうした政府のスタンスに柔軟性が見えない限り、水準訂正は進みにくいと考えられる。
<日本も決算本格化へ>
来週の日経平均の予想レンジは2万6800-2万8200円とする。依然として不安要素は多く、米市場次第では一段の急落も避けられないものの、これまでいったん切り返してからの戻りのスピードは速かった。
国内で26日に1月日銀金融政策決定会合の「主な意見」(17、18日分)が公表される。決算発表は26日に日本電産 <6594> とファナック <6954> 、27日に信越化学工業 <4063> やアドバンテスト <6857> 、28日にオリエンタルランド(OLC) <4661> 、大和証券グループ本社 <8601> など。
米国ではFOMCのほか、27日に10-12月GDP(国内総生産)速報値と12月耐久財受注が出る。マイクロソフトやインテル、ボーイング、アップル、キャタピラーなどの決算も注目される。
提供:モーニングスター社
株式週間展望=不安材料山積も下値支持ゾーンに到達―日経平均予想レンジ、2万6800、2万8200円 - ニュース・コラム - Y!ファイナンス - Yahoo!ファイナンス
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