本田技術研究所および本田技研工業は9月30日、ホンダの新領域の取り組みについて一部を明らかにした。その中には、電動化技術とガスタービンエンジン技術をハイブリッドで利用するeVTOL(電動垂直離着陸機)や、衛星を打ち上げ可能とする小型ロケットなど驚くべきものが含まれていた。
これらの開発技術については、本田技術研究所 代表取締役社長 大津啓司氏らが説明。実用化を目指して開発中であることを明言した。
小型ロケットを含む宇宙領域への挑戦
3つ目として紹介されたのは宇宙領域の挑戦。すでにホンダはJAXA(宇宙航空研究開発機構)と一緒に、月面でのサステナブルなエネルギー活用に取り組んでいる。具体的には、ホンダの燃料電池技術をベースとした発電システムで、燃料電池技術に加え、高圧水電解システムと組み合わせることで、循環型再生エネルギーシステムを構築しようというもの。水素・酸素と水をクローズドで遷移させていくことで、月面におけるムダのないエネルギー発生システムを作っていく。
この分野を担当している本田技術研究所 先進技術研究所 執行役員 小川厚氏によると、宇宙領域においてはホンダの燃焼技術を使った小型ロケットの開発も進めているとのこと。
若手研究員の発案にもとづく小型ロケット開発は2019年から開始。すでに燃焼についての実験も始まっており、小川氏は動画を白黒で見せてくれた。ただ白黒になっているのは、燃焼色によって成分が分かってしまうためとしており、逆に言えば結構具体的なプランであることが分かる。
以上の大きく分けて3つが今回発表された先進技術開発だが、いずれも自動車会社の枠組みから大きく離れているように見えて、ホンダが持つコアな技術がしっかり活かされていることが分かる。
ホンダのすごいところは、これらの技術を本当に実現してしまうだろうと思わせるだけの実績を持っていることにある。かつて、ロボットの二足歩行は夢の技術と言われていたが、ホンダP2の技術公開により急速に一般化。さまざまな歩行ロボットが実現している。
また、空を飛ぶものに関しても航空機開発は故本田宗一郎氏の夢であり、ホンダは1940年代に航空技術者の募集をし、1962年にはガスタービン研究室が発足していた。それらはホンダジェットとしての事業化につながっており、ホンダの技術力の高さを証明している。
この3つの分野についても事業化には非常に高いハードルがあると予想されるが、それだけに超えることができた際には、ホンダだけでなく社会にも大きなインパクトを与えてくれるものになるだろう。
本田技術研究所 大津啓司社長、空飛ぶハイブリッド「電動垂直離着陸機」や「小型ロケット」などホンダの新領域技術について説明 - Car Watch
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