2021年06月16日07時07分
東芝と経済産業省が連携し昨年7月の株主総会で海外の「物言う株主」の議決権行使に影響を与えたとされる問題で、梶山弘志経産相は15日、独自に調査する必要はないとの見解を繰り返した。明快な理由を示さず説明を回避しており、国内外投資家らが政府による経営介入との疑念を一段と強める恐れがある。国を挙げて進める企業統治(コーポレートガバナンス)向上との整合性も問われそうだ。
東芝対応、調査必要なし 報告書「事実関係に疑問」―梶山経産相
政府は、原子力など安全保障に関わる技術を持つ東芝を、外資の出資を規制する外為法の対象としている。梶山氏は同日の記者会見で、「日本にとって重要な企業」で、経営陣の交代や利益の還元といった物言う株主の要求を受け入れ続ければ経営の安定が脅かされかねないと懸念。「事業や投資の停滞があってはならない」と訴え、政府が同社に一定程度関与するのは「当然のこと」だと主張した。
東芝の外部弁護士が10日発表した報告書は、経産省が外為法の権限も背景に関与したとされる昨年7月の株主総会は「公正に運営されたとはいえない」と断じた。梶山氏は「事実関係に疑問を持たざるを得ない」と報告書を批判する一方で、疑いを晴らすための独自調査の必要性は否定した。
経営の透明性が低かったり、不祥事が続いたりする会社は企業統治が不十分で、成長が望めないと判断され、投資家は敬遠する。今回の外為法運用をめぐる不透明さは懸念要因だ。経産省は近年、指針改定などを通じ企業統治を強化してきた。青山学院大の八田進二名誉教授は「日本の資本市場の信頼性が海外に受け入れられる段階に来たのに、経産省が台無しにした」と批判する。
経済界も厳しい目を向ける。経済同友会の桜田謙悟代表幹事は15日の記者会見で、「経産省も当然説明責任を負う」と指摘。経産相が職員の行動を調査する必要がないとの考えを示したことに対しては「これで全ておしまいというわけにはいかないぐらい深刻な話だ」と強調した。
ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次チーフエコノミストは、今回の問題は企業統治の在り方の議論を深める契機になると期待。それだけに「今のままでは情報が足りない。経産省はもっと説明を尽くすべきだ」と指摘する。 ![]()
梶山経産相、説明を回避 企業統治改革と矛盾―東芝問題 - 時事通信ニュース
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