2020年10月に亡くなったサムスンの李健熙会長(中)。左は妻の洪羅喜氏、右は長女の李富真氏(写真・ソウル新聞)
韓国最大財閥のサムスングループトップで、2020年10月に死去した李健熙(イ・ゴンヒ)会長が残した遺産のうち、サムスン生命株の相当数を李会長の長男でサムスン電子副会長の李在鎔(イ・ジェヨン)氏が相続することになった。サムスン電子やサムスン物産、サムスンSDSなどの株式は、法定相続に従って遺族たちが相続することになった。
中核企業・サムスン生命株は子ども3人で相続
サムスングループの支配構造の核心となるサムスン生命の株式の大半が李副会長の所有になれば、現在の支配構造がより強固になりそうだ。一方で、相続税額が巨額であるのは変わらず、そのため相続税負担は遺族同士で分散して負担することになった。
李会長の遺族は、妻の洪羅喜(ホン・ラヒ)氏、長男の李副会長、長女でホテル新羅代表の李富真(イ・プジン)氏、次女でサムスン公益財団理事長の李叙顕(イ・ソヒョン)氏。4月30日に約19兆ウォン(約1兆8600億円)相当となる李会長の保有株式をどう相続するか、その具体的な比率を公開した。
李会長が20.76%保有していたサムスン生命株は、李副会長が相続分全体の半分となる2075万9591株を、富真氏が6分の2となる1383万9726株、叙顕氏は6分の1の691万9863株をそれぞれ相続する。洪氏に対する相続はない。法定相続比率通りであれば、洪氏が9分の3、3人の子どもたちがそれぞれ9分の2ずつとなるが、洪氏が自分の相続分を子どもたちに渡すことになる。
李副会長は今回の相続で、サムスン生命の発行済み株式の10.44%を保有することになり、個人で最大株主となった。富真氏は同6.92%、叙顕氏は同3.46%となる。
李会長が保有してたサムスン電子株の4.18%、サムスン物産株2.88%、サムスンSDS株0.01%は、法定通りに相続する。これにより、サムスン電子では洪氏が2.3%を保有し、個人最大株主となった。李副会長は1.63%を、富真氏、叙顕氏がそれぞれ0.93%となる。
遺族同士で巨額な相続税を負担へ
今回の相続で、李副会長がサムスン電子支配体制を固め、巨額の相続税負担は分散させるという戦略だ。現在、サムスンは李副会長→サムスン物産→サムスン生命→サムスン電子と連なる支配構造となっているが、中心企業であるサムスン生命株を李副会長より多く持つことによって現在の体制を維持できるようにした。
一方で、サムスン電子株だけで相続税額9兆ウォン(約8800億円)となるため、法定通りに相続することで遺族内での税負担の偏りを防ぐ。遺族は、2020年にはサムスン電子からの配当金で1兆3079億ウォン(約1000億円)を受け取っており、12兆ウォン(約1兆1700億円)を超えるとされる相続税支払いに備えるものと思われる。
韓国財界関係者は「李会長が個人で最大株主だったサムスン生命は、経営上の目的のために李副会長に株が渡るようにした。家族同士で円満に合意した結果だ。現在の支配構造で特別な変化はないだろう」と言う。
(「ソウル新聞」2021年4月30日)
05/02 15:00
東洋経済オンライン
遺産相続でサムスン創業家の支配力が強固に - auone.jp
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